Brand Concept

KIDA UkuleleWorksのロゴマーク、山のアウトラインは愛媛県が有する西日本最高峰の石鎚山です。道後平野から見上げた石鎚山系の稜線をモチーフにしています。子供のころから、何十回も登った大好きな石鎚山。ザックにウクレレを縛り付けて山の中をウロウロしては、日が暮れるまで人のいない無人小屋なんかで演奏したりしました。ウクレレっていうとハワイで海なイメージだけど、ハワイにも霊験あらたかなお山はあるし、山にもウクレレはマッチするよ!といつも思います。僕の趣味はキャンプ、スノーボード、登山は夏山も冬山もするし、毎週のように釣りに行ったりもします。とにかく自然が、というか「外」が大好きで、いつも太陽の下に居たいなって思う。それと、料理と、音楽。「外・料理・音楽」が僕の三原色です。料理はこの話には全然関係ないんだけど・・・

外、特に山で音楽をしたいと思うと、当たり前だけどピアノは持ってけないし、ギターは楽器も音もちょっと大きすぎる。カホンだって一人じゃなんのこっちゃ。ウクレレはほんとにちょうどいいんです。外でも、家の中でもちょうどいい。行きたい時に、行きたい場所へどこへでも持っていけて、癒しの音色を奏でてくれる。こんなにちょうどいいのに、実際向き合うとものすごく奥が深い。自分と同じようにウクレレと自然が好きな人が、気軽にいつまでも弾いていられる楽器を造りたい。そう思って日々作業しています。

Builder's Profile

2009年に国内最大手楽器量販店に就職したことをきっかけに、独学でアコースティックギターやエレキギターの修理を始めました。高校時代からアコースティックギターを少々演奏したりしていましたが、決して才能があるとは言えず努力も出来なかった。演奏や音楽の知識でお客さんの役にたてるとは到底思えず、楽器の演奏ができない自分にできることは無いかと思い修理の勉強を始めました。元来の修理好きの性分で修理に対する探究心が尽きず、色々な修理に挑戦しました。最初はネック調整から始まった修理が、いつの間にかエレキギターのサーキット交換。ナットやサドルも作るようになったし、フレットのすり合わせをし始めたかと思うと気が付けばリフレットまでするようになっていました。10年間のうちに一体何本の弦交換をしただろう。1日に40本以上、それもネック調整や簡単な修理をしながらなんてこともありました。数百本どころじゃない。何千本としたと思います。

同時期に家具やちょっとした小物を作るようになり、修理だけでなく新しい物を作ることにも興味が出てきました。いつしか楽器を1から作りたいと思うようになり、今までの修理の経験を活かせばできなくは無いんじゃないかと考えるようになりました。

ちょうどその頃、ご縁を頂いて趣味でアコースティックギターやウクレレを製作されている方に出会いました。

「実はウクレレを作ってみたいんです。」

と打ち明けると、自宅の工房に招待してくれました。実際に作るとなると右も左も分からなかった私に、手取り足取り教えてくれるだけでなく、初めて作るウクレレの材料全てを手持ちの材料から頂きました。時間を見つけてはその方の工房に通い、8か月ほどかかって最初のコンサートウクレレを完成させました。2018年7月のことでした。その後しばらくはテナーサイズを中心に製作していましたが、現在はテナーサイズ、コンサートサイズの2種類を作製しています。

今世界はコロナ禍で、なかなか以前と同じような生活を送ることが難しくなっています。そんな中でウクレレはコロナ以前より明らかに注目されています。いずれブームは落ち着き、新たに始めた人たちの何割かはウクレレの良さに気付くことなくやめてしまうかもしれない。でも確実に分母は増えると思います。ウクレレを作り続けることや、SNSを使って発信し続けることで、ウクレレを楽しむ人たちに良い影響を与えたい。こんな時代だからこそ、今までにない、新しいタイプの職人になりたい、と思います。

私にとってのウクレレという楽器

ウクレレとの出会いは、2013年の12月。頂き物のコンサートウクレレが始まりでした。これまで大学時代に始めたピアノ以外に楽器が続いた試しは無かったけど、ウクレレにはビビッと来たのを覚えています。気軽に弾けて、音量の調整がしやすく、どこにでも持っていけるウクレレ。夜中に自作のミュートを使って練習したり、運転中信号待ちの時間や、趣味の登山に持っていき山頂で演奏したりしていました。とにかく、どこにでも持ち運べるというその気軽さの虜になったんだと思います。

頂いたウクレレはすぐに物足りなくなり、いいウクレレが欲しくなりました。初めて買ったウクレレが既にオーダー品で、出来上がるまでの3か月間、夜も眠れなかった気がします。その時はまさか自分がウクレレを作り始めるとは思いもしなかった。ウクレレを初めて4年ほどだったか、知り合いに仲間内でやっているライブに来ないかと誘われます。せっかくだからと見に行くと、主催されている先生に次回からウクレレをもってくるようにと言われました。そして、課題曲を申し付かったのです。それから、月に1回開催されるそのライブに参加するようになりました。それまでは気が向いた時に弾いていたウクレレを毎日何時間も弾くようになりました。人前で演奏する機会があることで、サボれなくなったとも言えますが・・・どうせやるなら、と毎月新曲をすることを課題にし始めました。そして、YouTubeもそのころに始めます。ただ、練習しても練習しても上手になった気はしなかった。演奏に関しては全く才能はないと思います。長くやっている分、人より練習している分弾けるだけ。すごく難しいフレーズも弾けないし、1曲仕上げるのに1か月では全然追いつかない。それでも、毎月の新曲をこなすことは諦めませんでした。自分の演奏に自信なんてないけど、それでもオファーがあれば断らずに受けました。ひとりで持ち時間40分なんてことも何回もありました。今でも、初めての会場では手が震えます。

今となっては「自分は職人でプレーヤーじゃないから演奏はそこそこでいい。」と自分に言い訳をしていますが、同時にもっと上手に弾けるようになりたいとも思います。

ウクレレは本当に素晴らしい楽器だと思います。優しい音色、楽しい仲間。気軽な楽器だからこそ、集まってくる人もおおらかな人が多い気がします。そもそもウクレレはとてもファジーな楽器なんです。少々弾き方がおかしくても関係ない。ハワイ製のすごく高いウクレレだって、ピッチが悪かったりセンターがずれてたりします。でもそんなことを追求する人なんてほとんど居ません。それが、私がいつまでもウクレレを好きでいられる理由なのかも。

いつか見たどこかのカタログに、「ウクレレは世界一幸せな楽器です。」と書いていた。妙にしっくりくるけど、とんでもなく深みのあるフレーズですよね。「ひとりでオーケストラ」とか、「天使の楽器」とかは聞いたことあるけど、楽器の形容詞に「幸せな」なんて聞いたことない。その幸せな楽器が大好きです。それを、同じようにウクレレが好きな人たちに伝えていきたいと思います。

ところでこんなにウクレレが好きですが、じつはもっと好きな楽器があります。ピアノです。でも、ピアノは練習しても練習しても全然弾けるようにならないから・・・笑


2020.9.22